■託送料金認可取消請求訴訟控訴審(令和5年(行コ)第30号)9月19日
期日前行動・第1回期日・記者会見・ミニ集会概要報告
1.期日前行動
日時:2023年9月19日(火)14:00頃
場所:福岡高等裁判所前 六本松公園から裁判所正門前
参加者:約30名
2.控訴審第1回期日
時間:14:30頃~15:20頃
場所:福岡高等裁判所 1階101号法廷
担当裁判官:第3民事部 ホ係 裁判長:久留島群一、裁判官:秋本昌彦、山下隼人
控訴人代理人:小島弁護士、北古賀弁護士、篠木弁護士、馬場弁護士、福島弁護士
被控訴人代理人:(国側)7名
傍聴者:約40名
・・・以下、裁=裁判長 控=控訴代理人(原告弁護団) 被=被告(国)・・・・
裁:控訴人代理人は、控訴状、控訴理由書、控訴準備書面1を陳述されますね。
控:はい。
裁:被控訴人代理人は、控訴答弁書を陳述されますね。
控:はい。
裁:控訴人代理人は原審の結果を陳述でよいですか。
控:控訴準備書面1で指摘した部分については摘示をするのは不相当だと考えます。
裁:そういう留保があることを前提に、陳述でいいのではないですか。控訴準備書面1を出しておられることも記録に残りますので。
控:はい。
裁:被控訴人代理人は原審の結果を陳述でよいですか。
被:はい、原審の結果通りです。
裁:控訴人代理人は甲第20号証から28号証を提出されますね。うち原本は甲23の1ですね。
控:はい。
(裁判官、被控訴人代理人の順で甲第23号証の1の原本を確認。)
裁:控訴人代理人は乙第69号証から71号証を提出されますね。
被:はい。
裁:では控訴人代理人から意見陳述をお願いします。
控訴人代理人小島弁護士より、「控訴第1回代理人意見陳述(スライド)」を使って意見陳述(約40分)。
【意見陳述要点】(※1)
・電力自由化のメリットは、①電気料金が下がる、②電力需給逼迫時に停電を防止し、電力の安定供給に役立つ、③省エネの技術革新や建物の断熱化などが促進される、の3点。
・規制料金の送電(託送)料金には、送電費用以外の費用を上乗せすべきでない。
・ある電源で発生した費用は、その事業者自身が負担すべき(電源費用自己負担の原則)。
・全国民に便益をもたらす公益効果の発生を促す補助金は、応能原則に従って税金等の一般財源で賄うべき(公益補助一般財源負担の原則)。
・廃炉円滑化負担金については、発電所廃止のための費用だから、「電源費用自己負担の原則」に従い発電事業者が負担すべき。また国が安全規制を変更し、原発事業者に義務付けたことで生じたものは「公益補助一般財源負担の原則」に従い国が負担すべき。
・賠償負担金については、原発事故の危険は外部不経済であり、それによって生じる損害は「電源費用自己負担の原則」に従い発生者(東電)に負担させるべきで、支払えない場合は東電を法的整理するべき。それでも支払いきれない賠償は、「公益補助一般財源負担の原則」に従い国が代行すべき。
・議事録等を精査したところ、平成11年の電気事業審議会基本政策部会料金制度部会及び平成25年の電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループでは、国が主張する「公平に負担すべき費用を託送料金で回収できる仕組みとすることが必要ではないかと専門家が提言した」という事実はない。
裁:今後の進行について控訴人代理人はどのようにお考えですか。
控:次回期日には本日提出しました八田意見書に基く準備書面を提出する予定です。また11月末頃までに、もう1名の学者からの意見書を提出したいと思っています。
裁:被控訴人代理人はいかがですか。
被:控訴人の主張を見て、反論を行うかどうか判断します。
(次回期日の日程調整等)
裁:次回期日は令和5年12月14日木曜日の午後2時30分から、101号法廷とします。
2.記者会見・ミニ集会
時間:15:30頃~17:00頃
場所:福岡県弁護士会館2階大ホール
参加者:実参加約40名 新聞記者2名
Zoom参加約20名
説明
・本日の意見陳述の内容 (小島弁護団長より)
・本日の裁判所の訴訟指揮と今後の見通し、 意見交換・感想:(略)
報告以上。
3、控訴審第2回期日は12月14日(木)14:30~ 予定。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<裁判傍聴記:馬場利子>
2020年10月15日、「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」が経済産業省令によって託送料金に上乗せされたことの違法性に対して、『国(経済産業省)が2020年9月4日に二つの負担金を上乗せした新しい託送供給約款を認可したことの取消しを求める訴状』を福岡地方裁判所に提出して、第1審は開始されました。
1審は、第1回口頭弁論期日(2021.1.13)から第9回口頭弁論期日(2022.11.14)までの審理を経て結審し、2023年3月22日に「原告の請求を棄却する」という判決が言い渡されました。
私は裁判を提訴する約2年前から、グリーンコープの託送料金裁判検討委員会のメンバーとして裁判に立ちあわせてもらっています。それは、この裁判が原告(グリーンコプでんき)だけの問題ではなく、国の原発を温存するためだけのこの違法な政策は、すべての消費者の問題だと思うからです。
第一審の判決は国の主張をそのまま引用したかのような内容でした。意義申し立てをしなければ、国民のほとんどの人が知らない間に、電気代は原発事故のための費用を金額の根拠なく、この先ずっと課せられていきます。
控訴審の開始当日(9月19日)も司法の独立を願い、祈りながら、裁判を傍聴しました。原告ではない私たちにできることを、引き続き、考えていきたいと思います!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(※1)の弁護団長の意見陳述(パワーポイント)資料を希望の方は、データをお送りします。
測定室 ✉ssokuteisitu@yahoo.co.jp までご一報ください。
2023年10月19日記
♯グリーンコープの託送料金取り消し訴訟