健やかないのちとくらしを未来へ・・・ 

託送料金取り消し訴訟2020年10月15日よりCategory Archives

ぜひ、オンライン署名(https://chng.it/T2dJLzWFpP)に協力ください。 

 経済産業省が2020年9月4日に出した【託送料金(電気を送る料金)に『福島原発事故損害賠償負担金』と『廃炉円滑化負担金』を上乗せして、全ての電気利用者から徴収を許可する】という決定により、私たちは電気代として、この2つの原発費用を上乗せして徴収されています。

託送料金に上乗せされている原発の費用のゆくへは!!


   この上乗せは国会の審議を経ず、電気事業法にも電気代として計上を認めていない違法な許可であるとして、九州の小売電気事業を営む【グリーンコープでんき】は2020年10月15日、福岡地方裁判所に国を相手に『許可取り消し』の訴訟を提訴しました。

 私たちが知らない間に、東京電力が起こした原発事故の損害賠償費用を40年にわたって電気代の中の託送料として支払い、大手電力会社7社15基の廃炉費用はいつまで幾ら上乗せされるのかも分からないまま請求されている事実は、この上乗せされている費用が無ければ、原発で発電をしている電力会社の電気代は途方もなく高額なものになり、立ち行かなくなることが分かります。

 ■違法な原発優遇政策を止められるのは、国会で見直されない限り、取り消し訴訟しかありません!!

この裁判は、原告1社の問題ではなく、私たち全員・そして、未来に続く子どもたちにも違法な電気料金を徴収される問題です。

■オンライン署名は、この『経済産業省の託送料金に原発費用の上乗せ許可』取り消し訴訟の裁判官に公正な判断をお願いするものです。
__________________________________________
【署名内容】

福岡高等裁判所 担当裁判官:
     久留島群一裁判長、秋本昌彦裁判官、山下隼人裁判官殿

1、託送料金許可取り消し請求訴訟控訴審に、法律に依拠して、公正な判 決をお願いします。
 
2、裁判所が、『法の支配』の砦であることを切に願います。

__________________________________________

❤ぜひ、Change.orgの署名:https://chng.it/T2dJLzWFpP に皆さんのお力を貸してください。

 多くの人が、今行われている電気料金の違法な徴収について知り、裁判に関心を向けてくだされば、必ず、司法も法的な判断をしてもらえると信じてこの署名を始めました。

原発を卒業していくために、皆さんからも周りの人に、署名の呼びかけをお願いいたします。

・・・・・・・
 【注】 Change.orgの署名は、署名をすると寄付の案内がありますが、寄付は署名実施者とは関係がありませんので、寄付をしていただくことは不要です。

 裁判に対して、私たちが静岡でできることをと考えて、オンライ署名を皆さんにお願いをすることにしました。
 1人1人の想いが未来を変えることを信じています・・・。

             「グリーンコープの訴訟を支える会・静岡」                   静岡放射能汚染測定室  代表:馬場利子 他一同
                
2023年11月15日記

#託送料金取り消し訴訟
#福島原発事故損害賠償負担金
#廃炉円滑化負担金
#原発のない未来のために

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ぜひ、オンライン署名(https://chng.it/T2dJLzWFpP)に協力ください。 静岡放射能汚染測定室

■グリーンコープでんきの託送料金控訴審9月19日開始報告  報告:(一社)グリーンコープ連合体 法務部 高見直樹

■託送料金認可取消請求訴訟控訴審(令和5年(行コ)第30号)9月19日
             期日前行動・第1回期日・記者会見・ミニ集会概要報告

1.期日前行動
 日時:2023年9月19日(火)14:00頃
 場所:福岡高等裁判所前 六本松公園から裁判所正門前
 参加者:約30名

2.控訴審第1回期日

 時間:14:30頃~15:20頃
 場所:福岡高等裁判所 1階101号法廷
 担当裁判官:第3民事部 ホ係 裁判長:久留島群一、裁判官:秋本昌彦、山下隼人
 控訴人代理人:小島弁護士、北古賀弁護士、篠木弁護士、馬場弁護士、福島弁護士
 被控訴人代理人:(国側)7名
 傍聴者:約40名

・・・以下、裁=裁判長 控=控訴代理人(原告弁護団) 被=被告(国)・・・・
 裁:控訴人代理人は、控訴状、控訴理由書、控訴準備書面1を陳述されますね。
 控:はい。
 裁:被控訴人代理人は、控訴答弁書を陳述されますね。
 控:はい。
 裁:控訴人代理人は原審の結果を陳述でよいですか。
 控:控訴準備書面1で指摘した部分については摘示をするのは不相当だと考えます。
 裁:そういう留保があることを前提に、陳述でいいのではないですか。控訴準備書面1を出しておられることも記録に残りますので。
 控:はい。
 裁:被控訴人代理人は原審の結果を陳述でよいですか。
 被:はい、原審の結果通りです。
 裁:控訴人代理人は甲第20号証から28号証を提出されますね。うち原本は甲23の1ですね。
 控:はい。
(裁判官、被控訴人代理人の順で甲第23号証の1の原本を確認。)
 裁:控訴人代理人は乙第69号証から71号証を提出されますね。
 被:はい。
 裁:では控訴人代理人から意見陳述をお願いします。

控訴人代理人小島弁護士より、「控訴第1回代理人意見陳述(スライド)」を使って意見陳述(約40分)。
【意見陳述要点】(※1)
 ・電力自由化のメリットは、①電気料金が下がる、②電力需給逼迫時に停電を防止し、電力の安定供給に役立つ、③省エネの技術革新や建物の断熱化などが促進される、の3点。
 ・規制料金の送電(託送)料金には、送電費用以外の費用を上乗せすべきでない。
 ・ある電源で発生した費用は、その事業者自身が負担すべき(電源費用自己負担の原則)。
 ・全国民に便益をもたらす公益効果の発生を促す補助金は、応能原則に従って税金等の一般財源で賄うべき(公益補助一般財源負担の原則)。
 ・廃炉円滑化負担金については、発電所廃止のための費用だから、「電源費用自己負担の原則」に従い発電事業者が負担すべき。また国が安全規制を変更し、原発事業者に義務付けたことで生じたものは「公益補助一般財源負担の原則」に従い国が負担すべき。
 ・賠償負担金については、原発事故の危険は外部不経済であり、それによって生じる損害は「電源費用自己負担の原則」に従い発生者(東電)に負担させるべきで、支払えない場合は東電を法的整理するべき。それでも支払いきれない賠償は、「公益補助一般財源負担の原則」に従い国が代行すべき。
 ・議事録等を精査したところ、平成11年の電気事業審議会基本政策部会料金制度部会及び平成25年の電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループでは、国が主張する「公平に負担すべき費用を託送料金で回収できる仕組みとすることが必要ではないかと専門家が提言した」という事実はない。 
 
 裁:今後の進行について控訴人代理人はどのようにお考えですか。
 控:次回期日には本日提出しました八田意見書に基く準備書面を提出する予定です。また11月末頃までに、もう1名の学者からの意見書を提出したいと思っています。
 裁:被控訴人代理人はいかがですか。
 被:控訴人の主張を見て、反論を行うかどうか判断します。
(次回期日の日程調整等)
 裁:次回期日は令和5年12月14日木曜日の午後2時30分から、101号法廷とします。

2.記者会見・ミニ集会                     
 時間:15:30頃~17:00頃
 場所:福岡県弁護士会館2階大ホール
 参加者:実参加約40名 新聞記者2名 
 Zoom参加約20名
説明
 ・本日の意見陳述の内容 (小島弁護団長より)
 ・本日の裁判所の訴訟指揮と今後の見通し、 意見交換・感想:(略)  
報告以上。

3、控訴審第2回期日は12月14日(木)14:30~ 予定。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<裁判傍聴記:馬場利子>

 2020年10月15日、「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」が経済産業省令によって託送料金に上乗せされたことの違法性に対して、『国(経済産業省)が2020年9月4日に二つの負担金を上乗せした新しい託送供給約款を認可したことの取消しを求める訴状』を福岡地方裁判所に提出して、第1審は開始されました。

 1審は、第1回口頭弁論期日(2021.1.13)から第9回口頭弁論期日(2022.11.14)までの審理を経て結審し、2023年3月22日に「原告の請求を棄却する」という判決が言い渡されました。
 私は裁判を提訴する約2年前から、グリーンコープの託送料金裁判検討委員会のメンバーとして裁判に立ちあわせてもらっています。それは、この裁判が原告(グリーンコプでんき)だけの問題ではなく、国の原発を温存するためだけのこの違法な政策は、すべての消費者の問題だと思うからです。
 第一審の判決は国の主張をそのまま引用したかのような内容でした。意義申し立てをしなければ、国民のほとんどの人が知らない間に、電気代は原発事故のための費用を金額の根拠なく、この先ずっと課せられていきます。
 控訴審の開始当日(9月19日)も司法の独立を願い、祈りながら、裁判を傍聴しました。原告ではない私たちにできることを、引き続き、考えていきたいと思います!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(※1)の弁護団長の意見陳述(パワーポイント)資料を希望の方は、データをお送りします。
    測定室 ssokuteisitu@yahoo.co.jp までご一報ください。

2023年10月19日記

♯グリーンコープの託送料金取り消し訴訟 

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■グリーンコープでんきの託送料金控訴審9月19日開始報告  報告:(一社)グリーンコープ連合体 法務部 高見直樹静岡放射能汚染測定室

9月19日(火)グリーンコプでんき:託送料金取り消し訴訟、控訴審初公判が開かれます。

「グリーンコープの託送料金訴訟を支える会・静岡」の皆さま

■託送料金取り消し訴訟は、第一審から第二審(控訴審)へ、
 9月19日:次の裁判のステージの始まります。


■「託送料金認可取消請求事件」の第一審は、

 第1回口頭弁論期日(2021.1.13)から、第9回口頭弁論期日(2022.11.14)までの審理を経て結審、
 そして2023年3月22日に「原告の請求を棄却する」という判決が言い渡されました。

2020年10月15日 第1審提訴の日

 判決を受けて、その判決は不当であるとし、「控訴する」ことを決めました。
 提訴の時から私たちが司法(裁判所=法をつかさどるもの)に求めているのは、
 主権者(国民)と主権者から業務やときに権限を委託される者(大臣や官僚)との関係の根幹についての是非判断なのですが、一審判決はその判断から逃げたものでした。
 
■第二審でグリーンコープは、一審判決が基礎においた「賠償負担金や廃炉円滑化負担金が電気の全需要家が公平に負担すべき電気事業に係る公益的課題に要する費用である」に対して、
「これらは公益的課題に要する費用ではない」ことを明確に立証していくことになりました。

 それに対し、被告(国)がどのような反論をしてくるのかを見据えていくことになります。
そのうえで、裁判所が一審の判決で逃げていた、主権者と主権者から業務やときに権限を委託される者との関係の根幹について、心から納得できる判断を司法には示してくれることを期していきます。

「託送料金認可取消請求控訴事件」
第一回口頭弁論期日及び期日前行動:閉廷後の報告集会はZoomでも参加いただけます。

日時:2023年9月19日(火)13時30分~
・13時30分~14時…六本松公園(裁判所前・福岡県弁護士会館横)で期日前行動
・14時…裁判所1階フロア―で待機し、時間が来たら第101号法廷の傍聴席に入ります。
・14時30分~ 「控訴審」第一回口頭弁論
・閉廷後、弁護士会館2階会議室で、記者会見・報告集会を行います。

●閉廷後の報告集会のZoomに参加下さる方は、パスワード等をお知らせしますので、以下までご一報ください。
 ✉ ssokuteisitu@yahoo.co.jp 

馬場は当日、原告のグリーンコープでんきの人たちと一緒に、福岡地方裁判所の控訴審に立ち会う予定ですので、後日、報告させていただきます。

♦控訴審「訴訟理由」は、以下でご覧いただけます。
 ⇒ https://drive.google.com/file/d/1UKMAdKP9K1DU4jQGvcEzSC2bqO1rNe0A/view?usp=sharing

控訴審も引き続き、関心を向けていただけますよう、お願いをします。

2023年9月16日記 

        「グリーンコープの託送料金訴訟を支える会・静岡」事務局 馬場利子

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9月19日(火)グリーンコプでんき:託送料金取り消し訴訟、控訴審初公判が開かれます。静岡放射能汚染測定室

3月22日『託送料金取り消し訴訟』の判決が出ました。報告:馬場利子

2020年10月15日に『グリーンコープでんき』より提訴された、『託送料金取り消し訴訟』の判決が3月22日、福岡地方裁判所で出されました。
 当日は、私(馬場)も現地で原告の皆さんと一緒に判決を傍聴しましたので、裁判の簡単な経過と共に、報告をさせていただきます。

・・・・・・

 この訴訟は、2017年に『託送料金(電気を消費者に送るための送電費用)に、「原発事故賠償負担金」と「廃炉円滑負担金」を上乗せして消費者から徴収して良い』とした経済産業省令がでてから足掛け6年。
送電費用と全く関係がない2つの費用を、電気事業法の改正(国会審議が必要)をしないで、経済産業省の1委員会で決めたことの違法性を容認できないとして、国を相手とした裁判を行うと決めるまで40回の託送料金裁判検討委員会を開き、原告となる一社『グリーンコープ共同体』(40万人)が、各地域で勉強会や討議を重ねての訴訟でした。

この裁判は、九州の1つの新電力会社による裁判ではありますが、「電気料金が国会審議だけで勝手に決められる」としたら、これから先も、電気を送る費用に関係がないお金を上乗せして支払わなければいけなくなるのは、全国のすべての消費者に関わる問題でもあります。

静岡では、2021年6月に『グリーンコープでんき託送料金を支える会・静岡』を作り、参加を呼び掛けて、裁判を応援してきました。

・・・・・・・・・・

日本では、議会制民主主義によって運営されることが憲法で決まっています。
そして、立憲主義に立って政策や国の運営がなされる日本においては、人に『義務』と『制限』を加えられるのは法律に依って決められている場合だけです。

「電気事業法」の中で託送料金として規定されているのは、『託送料金は託送に関わる必要経費と適正な利益』となっています。
この裁判で、裁判所に判断してもらいたいとして訴えたのは、【託送料金として全く関係がない「原発事故賠償負担金」と「廃炉円滑負担金」を託送料金の営業費として上乗せして徴収しても良いのでしょうか?】ということでした。

判決は、その問いに全く答えず、国が答弁した文章を引用するような文章でした。

判決を伝える原告

《判決について、『グリーンコープでんき託送料金を支える会』より、以下の一報が届きました。
支える会の皆さま。
いつもお世話になっています。昨日(3月22日)、福岡地方裁判所で託送料金訴訟の判決が出ました。
原告の請求を棄却するというものでした。心より残念です。
原告適格は認めましたが、この2つの負担金(賠償負担金と廃炉円滑化負担金)は公益のために電気利用者のすべてが負担するものであり、経産省の認可処分は法律の委任範囲内のものであり、違法ではない、というものでした。
国が出した準備書面をそのままなぞるかのような判決でした。憤りと悔しさはありますが、あきらめることはできないと思っています。
今後について、来週3月30日にグリーンコープ臨時理事会を開いて、裁判を上告するかどうか決めていきます。
方針が定まりましたら、あらためてご一報させていただきます。
よろしくお願いいたします。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「託送料金訴訟経過報告」
ホームページURLはこちら↓
https://www.greencoop.or.jp/takuso-ryokin/
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 裁判傍聴の私感は、追ってご報告しますが、私は【裁判も公式(公開)のコミュニケーション・ツール】だと思っていますので、残念ではありますが、私たちの(正当な(笑))意見に同意しない人(裁判官)が居ることは当然あると思っています。
主張が通らなかったからと言って、今回の裁判が無意味だったとは決して思えません。
意見が違っても、どこまでも話し合い(問い続ける)中で、社会の作り方を法廷以外で替えている場合が少なくありません。
何より、判決が出た後で行われた記者会見ではでは、新聞記者さんたちの的確な質問がありました。
そして、原告団報告会に参加した1人1人が、自分の言葉で裁判について思いを述べ、判決を不服として「上告をして欲しい」という人たちの力強い発言に深く感動しました。

記者会見に臨む原告団代表

皆さんに応援していただいている【託送料金裁判】について、引き続き、報告をしていきたいと思っています。
よろしくお願いします。

2023年3月24日
馬場利子記

♯グリーンコープでんき託送料取り消し訴訟

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3月22日『託送料金取り消し訴訟』の判決が出ました。報告:馬場利子静岡放射能汚染測定室

寄稿文:グリ―ンコープでんき 託送料金裁判の判決(3月22日)を前に裁判の経緯と報告

2023年3月22日、託送料金訴訟第一審(福岡地方裁判所)の判決が出されます。

福島地方裁判所大法廷


この裁判の経緯と経過を、グリーンコープ共同体(※1) 常務理事 東原晃一郎さんに報告していただきました。

報告は長くなっていますが、国を相手としたこの『託送料金取り消し訴訟』は、2017年から、グリーンコープ共同体(担当はグリーンコープでんき)が、検討委員会を設置して足掛け6年、40回の検討委員会を重ねて判決の日を迎える経過をまとめて下さっています。
裁判の訴訟理由は、『国会での審議をしないで、電気代に託送料金として原発関連の2つの費用(「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」)を上乗せして徴収することを経済産業省が決めたことを違法としての訴えです。

提訴を決議したグリーンコープ総代会2020年2月12日


裁判の検討委員会は、静岡から私・馬場利子もメンバーに加えていただき、弁護団5名・公認会計士1名・市民運動をおこなう3名とグリーンコープ共同体理事会の担当者によって、裁判の原案をねり、全国唯一の『託送料金裁判』を行ってきました。
 以下の経過のまとめで、裁判の全容を理解していただけると思います。(以上、馬場)

・・・【報   告】・東原晃一郎記・・・ 

報告者:東原晃一郎さん


2020年9月に国が「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」を電線使用料である託送料金に上乗せするとして、
 九州電力送配電会社の託送供給等約款変更を認可したことの取消しを求める訴訟を、わたしたちグリーンコープは、2020年10月15日、福岡地方裁判所に提起しました。
<
(1)国によるこの認可は全国の大手電力送配電会社に一斉に行われました。
 グリーンコープでんきエリア内では他に、関西電力送配電と中国電力送配電も含まれますが、論理的にはすべて同じものですから、訴訟体力を考えて、九州電力送配電に対する認可を対象とする訴訟に絞りました。

(2)原告は小売電気事業者であるグリーンコープでんき、被告は国(管轄庁は経済産業省)です。
 ■提訴以降、2020年1月13日第1回から2022年11月14日まで9回の弁論期日が開かれ、結審しました。
 足かけ2年強でした。そして、来る3月22日に判決が言い渡されます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)日本の裁判の現状は、多くが書面の出し合いのみで終わることが多くなっています。
 私たちは2017年から、弁護団5名・公認会計士1名・東京や静岡で市民運動をおこなう3名の皆さんと検討委員会を40回行い、原案をねり、提出書面をグリーンコープ共同体理事会として検討し、提出するとともに、9回の期日ごとに、スライドを作って法廷で映し出し、弁護団より口頭でその考えを裁判官、相手方の国、傍聴する報道機関、傍聴する組合員に話し続けました。

2020年10月15日提訴当日


(2)また、毎回期日終了後に、報道機関向け説明会と、弁護団および傍聴組合員・ウエブ参加組合員による報告集会をもってきました。
 参加する組合員は共同体や単協の理事会メンバーや地域組合員の皆さんがた。
 裁判で双方から提出した書面は、グリーンコープのホームページにアップしています。
 (トップのグリーンコープの取り組み⇒託送料金を問う(https://www.greencoop.or.jp/takuso-ryokin/)、をクリックすると開きます。ぜひ一度ご覧ください)。

■訴訟の争点は大きく2つ。
 「原告適格の有無」と「託送料金に2つの負担金を上乗せすることが国(経済産業大臣の命令)の一存でできるのか」です。

(1)国は、「この認可は国が九州電力送配電に対して行ったもの。小売電気事業者であるグリーンコープでんきにはその是非や違法を問える資格はない」と主張しています。
私たちは、「この認可によって、九州電力送配電はグリーンコープでんきに請求する電線使用料としての託送料金に2つの負担金を上乗せすることになった。その影響を現に受けている。したがって、その是非や違法を問える資格がある」と主張しています。

(2)また国は、「そもそも託送料金は、国の判断で、負担金を営業費として含めることができる」と主張しています。
 私たちは、「こうした負担金が最終電気料金として国民の負担になっている。
 国民の財産や意思に関わるこれら負担金を、法律に基づかない行政判断(経済産業大臣の命令)=省令で決めるのは違法だ」と主張しています。

(3)2つの負担金とは次のようなものです。
 「賠償負担金」は2011年3月に起きた東京電力福島第一原発事故の賠償金を、全国の電気利用者に負担させるとするもの。
 「廃炉円滑化負担金」は、全国の大手電力が所有する50余基の原発を廃炉する費用として準備できていないお金を、全国の電気利用者に負担させる、とするものです。

■今、3名の裁判官が合議で3月22日に出す判決を鋭意作成されています。
(1)日本は「国民主権」の国です。
 それを根元に三権分立(立法=国民が選んだ議員が国会で法律をつくる。/行政=法律にもとづいて公務員が大臣の指揮下で公共の仕事をする。/司法=裁判所が国民相互や国民と行政間の争いごとを裁決する。)の統治がされています。
 すべての根源は「国民主権」、つまり国民の存在と意思にあります。地方も同じです。

2021年12月13日裁判後の報告集会

(2)三権分立では、行政と司法は独立したものです。
 ただし、いずれも国の機関であります。だから、司法が行政を負けさせる判断はそう容易には得られません。
国を勝たせるのはある意味で簡単です。逆に、国のやったことは違法だと判決するならば、後から、上級審の高裁や最高裁から覆されないように、しっかりとその論拠と判断が構築されたものを書か
ないといけません。9回の期日をふり返って、今3名の裁判官はその作業をやっていると、私たちは信じています。弁護団の手応えと感触も同じです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■訴訟の本質として2つの大切に思うことを>伝えさせてください

まず1つは、上にも触れた「国民主権(組合員主権)」とは何かをあらためて考えてみることです。
(1)国民主権は国民の存在と意思から始まるものです。
国民の権利・義務に関わることは、その情報が明示されたうえで、国民が選ぶ議員が国会で法律として決めねばならぬものです。
それを差し置いて、国民が選ばない行政庁の者がこうしろと決めてはならないものです。

(2)12年前、2011年3月に東京電力福島第一原発事故が起きました。
 今もなお多くの被害者が苦しみ、がんばっています。
それらの損害賠償額も今なお増えつつ、最新時点で12兆5.865億4.100万円(昨年4月東京電力と原子力損害賠償・廃炉等支援機構の公表。除染と中間貯蔵を含む)です。
 事故の直後、元々その責任を負う東京電力が払えないとなり、原子力事業者の相互扶助として全国の大手電力会社もお金を出すことになり(注:これは法律で決められました。2011年8月第177国会の原子力損害賠償・廃炉等支援機構法です。
 なお、これも、その額が電気料金に上乗せとなったことを国民のほとんどは知りませんでした)、それでも足りなくなることから、経済産業省の者たちが考えついたのが「賠償負担金」でした。

(3)彼らとて強欲な悪人ではないでしょう。彼らなりに原発事故の被害者にきちんと賠償がされねばならないと考えていると信じます。
 そして、だからこそ怖ろしいのです。そうしたことを誰が決めるのか。それを間違えて、国のことを考える自分たち役人が決めていくのだとばかりの振舞いです。
 そして、異論や意見を許しません。行政のこうした増長が本来の主権者を踏みにじった歴史を私たちは知っています。

(4)また、経済産業省の長たる西村大臣に信を置けるのか。

西村経済産業省大臣

 12年前、西村さんは前述の第177国会の場で原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の修正案を提出し、その内容で可決に運んだ要員のお一人でした。
この時、何度も何度も、東京電力の経営者や株主など利害関係者の責任を述べ、同じように原発事業を進めてきたとは言え、全国の大手電力とその電気利用者がこうした負担を課されることに疑問をとなえ、こう述べ続けられました。そして、同法附則6条2項にその旨を明記させもしました。

「……株主初めステークホルダーの皆さんにはさまざまな局面で一定の責任を負っていただくということで、特定事業計画を作るときにも、東電はしっかりと関係者に協力を要請し、機構はそれを確認する、それが十分なものであるかどうかを確認する……さらに、附則の6条第2項で、将来、これは早期にということでありますけれども、賠償額の全体が見えてくる、そうした状況を踏まえながら今回の賠償の費用負担をどうするのかということを検討する……その際に、東電、国、他の電力事業者、我々は他の電力事業者は基本的に負担金は最終的には充てないものというふうに立法者の意思として思っておりますが、プラス株主はじめステークホルダーの方々の責任をどう分かち合ってもらうのかというところを早期に検討する。その際に大事なことは、委員から御指摘のあった国民負担を最小化するということでありますし、同時に、賠償を確実に進めるということであります(7月26日)」

「……これまで一応ほかの電力会社からのお金を一旦使ったとしても、あるいは偉い人(注:政府)がお金を出したとしても、その負担をどう分かち合うかはその時点で判断しましょう、したがって、その車に乗っている同乗者(注:東電の利益関係者)であったり、Tさん自身(注:東電)が財産を持っている、これはもう今の段階からそれは徹底的にTさんには払ってもらいますけれども、あるいは貸している方々(注:金融機関)含めて、その段階で国民負担、つまり被災者も含めて国民の負担が最小になるように最も適切な解をその段階で考えましょうと、今は賠償を優先しようというのが今回の修正案であります(8月1日)」

(5)ご自分が言われたこれらをふり返ってみられると良いです。それと真逆の、しかも、原発事業に関係をもたない新電力事業者とその電気利用者にまで、この負担を課そうとする、さらに、それを法律でもない省令で決めるわけです。それを分かって、今経済産業大臣を務めておられるのであれば、私たちは、行政と立法を媒介する政治の言葉として、そこに信を置くことはできないと思うのです。

■もう1つの大切なこと。この2つの負担金の託送料金への上乗せ認可は、あからさまな原発温存、大手電力優遇の行政行為であると知ることです
これは1つ目と表裏一体です。

(1)昨年(2022年)11月に、会計検査院が国の21年度決算への検査報告を発表しました。その1つに、「賠償負担金が上乗せされた一方で、それまで大手電力会社が負担してきた一般負担金が減額されている。その変更の理由を国民に説明すべき」という指摘がありました。これは、私たちの懸念していたものでした。

「大手電力の収支が大変だ」という理由でしたが、それ以上に多くの新電力の経営は追い詰められています。それは見捨ててよいのでしょうか。とても公平に欠く実態が1つ見えました。

(2)昨年8月以後、あれよという間に「原発依存度を低下させる」とした事故後の政策が、首相の発信と経済産業省の場でくつがえされ、原発の最大限利用、新増設、60年以上の運転を可とする等が決められようとしています。そうした背景に昨今の電力安定供給問題が挙げられました。
60年以上の運転可と言いますが、60年以上の運転をしている原発は世界に1基もありません。
最大の問題だと思うのは、安全性の確保として、事故前には“推進”と“規制(保安)”のどちらもが経済産業省に管轄されていた結果が大事故につながったという大きな反省から、“推進”は経済産業省に、“規制”は原子力規制庁にと分離されたものが、今度60年以上の運転を許可するか否かの判断をまた経済産業省が行うようにする、ということです。
 その問題を物語るかのように、今般のルール変更が委員会等で検討される前に、経済産業省と規制庁の職員の談合が何度も行われていたと報じられました。行政への信はこうした時に揺るぎます。

(3)原発のコストは天井知らずです。「廃炉円滑化負担金」が教える廃炉費用の不足は、30~40年の問題です。最大の問題はその後やってきます。
放射性廃棄物、いわゆる核のゴミです。これについて、300~400年の検査と管理、それから10万年の監視が必要とされています。
 一方、どこでそれをするかも決まっていません。こうした長い時間の仕事と費用の多くはどこにも誰にも準備されていません。これらが、今般の2つの負担金と同じ理屈とやり方で託送料金にまた上乗せされることはない、とは誰も言えません。私たちは、今般の一事は万事につながると思っています。そして、皆さんと共に止めさせたいと考えています。

 こうした中、3月22日に判決を迎えます。いずれの判決であっても、高裁、最高裁と続くことが予想されます。それらも組合員(原告グリーンコープ)が話し合って決めていきます。皆さんにもともに考えていただけること、知り続けていただけることを心からお願いいたします。             

(※1)グル―ンコープ共同体 →https://www.greencoop.or.jp/hajimete/

・・・・・・・・・・報告以上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2023年3月11日記:東日本大震災12年目に

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寄稿文:グリ―ンコープでんき 託送料金裁判の判決(3月22日)を前に裁判の経緯と報告静岡放射能汚染測定室