健やかないのちとくらしを未来へ・・・ 

5月 2014Monthly Archives

『測定室だより』第31号を発行しました。

『測定室だより』は当室の測定結果を全て掲載し、
会員の皆さんにお届けしています。

すでに、会員の皆さんにはお手元に届いていると思いますが、
万一、まだ、受け取っていらっしゃらない方は、お手数ですが、
ご一報ください。

31号には、
◆4月に測定した食品19検体と環境試料4検体の測定結果の他に
◆2013年4月~2014年3月、1年間に測定した測定品リスト
 (190種類379検体の品目表)
◆同じく1年間の測定で、セシウムを検出した検体結果一覧
 (397測定中101測定でセシウムを検出)
を掲載しています。 

福島原発事故から2年経過した2013年4月から1年の
セシウムの測定結果をご覧いただく事ができます。

★この『測定室だより』は会員会報として発行していますが、
一般の方にも、ご希望があれば販売しています。

1部500円+送料80円(82円ですが、なぜかすんなり受け入れられず、80円で!)

以下にお申し込みください。

mail;ssokuteisitu@yahoo.co.jp
tel;054-209-2021

◆6月14日(土) は、当測定室主催の映画会もあります。
たより31号にも告知していますので、是非、お時間を作ってご一緒下さい。

映画をご覧いただければ、
これからどうしたら良いか、きっと、皆さんと共有できると思っています。

お待ちしています。

2014年5月31日
馬場利子記

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『測定室だより』第31号を発行しました。静岡放射能汚染測定室

お訊ねします・・。

この記事は、
測定室にお電話を下さった1人の方を探して、お訊ねの掲示です。

◆5月22日(木)にお電話を下さった京都市の田中さんへ
この掲示をご覧くださいましたら、もう1度、お電話を頂けますか?

伺ったご住所を誤って記録したため、
お送りした資料(封書)が、住所不明で戻ってきてしまいました。
お電話番号を伺わなかったため、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
お約束した資料をお届けできず、心を痛めています。

この掲示をご覧いただける事を祈りながら、お電話をお待ちしています。

2014年5月27日
馬場利子記

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お訊ねします・・。静岡放射能汚染測定室

大飯原発裁判判決を受けて、全国弁護団連絡会からのメッセージ!

皆さん、すでに大飯原発3,4号炉の運転差し止め訴訟の判決を、ご存じだと思います。

判決文は、人が幸せに暮らす権利(人格権)を認め、
原子力発電所が科学的にも、技術的にも安全に運転される施設となっていないことを
指摘しています。

その判決文は、美しく、命への愛に満ちていると感じました。
全国各地から、この判決を知った人々が
喜びを分かち合うメールが、星の光、太陽の輝くの数ほど行き交っています!
この裁判をになって下さった方たちに心から感謝と、お祝いを申し上げます。

★少し、長くなりますが、
原発裁判を担って下さっている全国弁護団からのメッセージを掲載させていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                               2014年5月23日

大飯原発3、4号機運転差止訴訟福井地裁判決の意義と
                   全国弁護団連絡会としての今後の行動提起

                                      共同代表 河合 弘之
                                         同 海渡 雄一
第1 経緯
福井地裁は、5月21日、関西電力に対し、大飯原発3、4号機の運転差止めを命じる判決を言い渡した。
この判決は、福島第一原発事故後の正式訴訟の判決としては初めての判決であるが、
我々はこれに勝訴することができた。
判決内容は、以下に詳しく説明するとおり、司法が原発の抱える本質的な危険性を深く認識し、
差し止めの結論を導いたものであり、これからの脱原発訴訟に大きな影響を与える画期的な内容となった。
判決の理論的な立場と差し止めと理由とするところを概観する。

第2 判決の内容
1 人格権
 
 人格権は憲法上の権利、人の生命を基礎とする。
 わが国の法制下でこれを超える価値を見いだすことはできない。

2 福島原発事故

 原子力委員会委員長は、福島第1原発から250キロ圏内に居住する住民に
 避難を勧告する可能性を検討し、 チェルノブイリ事故でも同様の規模に及んだ。
 ウクライナ、ベラルーシで今も避難が続く事実は、
 放射性物質のもたらす健康被害についての楽観的な見方、
 避難区域は最小限のもので足りるという見解の正当性に重大な疑問を投げかける。
 250キロは緊急時に想定された数字だが過大と判断できない。

3 本件原発に求められる安全性
(1)原子力発電所に求められる安全性
 原発の稼働は法的には電気を生み出す一手段である経済活動の自由に属し、
 憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきだ。
 自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広範に奪われる事態を招く可能性があるのは
 原発事故以外に想定しにくい。
 具体的危険性が万が一でもあれば、差し止めが認められるのは当然である。
 原子力技術の危険性の本質、そのもたらす被害の大きさは
 福島原発事故により、十分に明らかになった。
 このような事態を招く具体的な危険性が万が一でもあるのかが、判断の対象である。
 福島原発事故の後において、この判断を避けることは、
 裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい。

(2)原子炉等規制法に基づく審査との関係
 4の考えは、人格権と条理によって導かれる。
 原子炉等規制法などの行政法規のあり方、内容によって左右されない。
 新規制基準の対象となっている事項についても、
 基準への適合性や規制委員会による基準適合性審査の適否という観点からではなく、
 3(1)の理にもとづいて裁判所の判断が及ぼされるべきである。

4 原子力発電所の特性
 原子力発電技術で発生するエネルギーは極めて膨大で、
 運転停止後も電気と水で原子炉の冷却を継続しなければならない。
 その間、何時間か電源が失われるだけで事故につながり、 
 事故は時の経過に従って拡大する。
 これは原子力発電に内在する本質的な危険である。
 施設の損傷に結びつく地震が起きた場合、
 止める、冷やす、閉じ込めるという三つの要請がそろって初めて原発の安全性が保たれる。
 福島原発事故では冷やすことができず、放射性物質が外部に放出された。
 本件原発には地震の際の冷やす機能、閉じ込める構造に次の欠陥がある。

5 冷却機能の維持
(1)ストレステストのクリフエッジを超える可能性を認めた。
 1260ガルを超える地震では、冷却システムが崩壊し、
 メルトダウンに結びつくことは被告も認めている。
 ストレステストの基準とされた1260ガルを超える地震も起こりうると判断した。
 わが国の地震学会は大規模な地震の発生を一度も予知できていない。
 地震は地下深くで起こる現象であるから、その発生の機序の分析は
 仮説や推測に依拠せざるを得ない地震は太古の昔から存在するが、
 正確な記録は近時のものに限られ、 頼るべき過去のデーターは
 きわめて限られていることを指摘した。

(2)700ガルを超えて1260ガルに至らない地震について、過酷事故につながる危険がある。
① 被告は、700ガルを超えるが1260ガルに至らない地震への対応策があり、
  大事故に至らないと主張する。
 被告はイベントツリーを策定してその対策をとれば安全としているが、
 イベントツリーによる対策が有効であることは論証されていない。

 事態が深刻であるほど、混乱と焦燥の中で、
 従業員に適切、迅速な措置を取ることは求めることができない。
 地震は従業員が少なくなる夜も昼と同じ確率で起き、
 人員の数や指揮命令系統の中心の所長がいるかいないかが大きな意味を持つことは明白だ。
 また、対応策を取るには、どんな事態が起きているか把握することが前提だが、
 その把握は困難だ。

 福島原発事故でも地震がどんな損傷をもたらしたかの確定には至っていない。
 現場に立ち入ることができず、原因は確定できない可能性が高い。
 仮にいかなる事態が起きているか把握できたとしても、
 全交流電源喪失から炉心損傷開始までは5時間余りで、
 そこからメルトダウン開始まで2時間もないなど残された時間は限られている。
 地震で複数の設備が同時にあるいは相前後して使えなくなったり、
 故障したりすることも当然考えられ、防御設備が複数あることは安全性を大きく高めるものではない。
 原発に通ずる道路は限られ、施設外部からの支援も期待できない。

②(基準地震動の信頼性)
 従来と同様の手法によって策定された基準地震動では、
 これを超える地震動が発生する危険があるとし、
 とりわけ、4つの原発に5回にわたり想定した基準地震動を超える地震が、
 平成17年以後10年足らずの間に到来しているという事実を重視した。
 
 このような誤りが重ねられた理由は、学術的に解明されるべきだが、
 裁判所が立ち入る必要はない。
 これらの事例は「地震という自然の前における人間の能力の限界を示すもの」というほかない。
 基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは、
 根拠のない楽観的見通しである。

③(安全余裕について)
 被告は安全余裕があり基準地震動を超えても重要な設備の安全は確保できるとしたが、
 判決は、基準を超えれば設備の安全は確保できない、とした。
 過去に基準地震動を超えても耐えられた例があるとしても、
 今後基準を超えたときに施設が損傷しないことを根拠づけるものではない。

(3)700ガルを超えない地震について
 地震における外部電源の喪失や主給水の遮断が、
 700ガルを超えない基準地震動以下の地震動によって生じ得ることに争いがない。
 しかし、外部電源と主給水が同時に失われれば、
 限られた手段が効を奏さなければ大事故となる。
 補助給水には限界があり、
 ①主蒸気逃し弁による熱放出、
 ②充てん系によるホウ酸の添加、
 ③余熱除去系による冷却のうち、一つでも失敗すれば、
 補助給水設備による蒸気発生器への給水ができないのと同様の事態に進展する。
 主給水系が安全上重要でないという被告の主張は理解に苦しむ。

6 閉じ込め機能(使用済み核燃料の危険性)
 使用済み核燃料は、
 原子炉格納容器の外の建屋内にある使用済み核燃料プールと呼ばれる水槽内に置かれている。
 本数は千本を超えるが、プールから放射性物質が漏れた時、
 敷地外部に放出されることを防御する原子炉格納容器のような堅固な設備は存在しない。
 福島原発事故で、4号機のプールに納められた使用済み核燃料が危機的状態に陥り、
 この危険性ゆえ避難計画が検討された。
 
 原子力委員会委員長の被害想定で、最も重大な被害を及ぼすと想定されたのは
 プールからの放射能汚染だ。
 使用済み核燃料は、外部からの不測の事態に対し、
 堅固に防御を固めて初めて万全の措置といえる。
 大飯原発では、全交流電源喪失から3日たたずして
 プールの冠水状態を維持できなくなる危機的状況に陥る。
 そのようなものが、堅固な設備に閉じ込められないまま、むき出しに近い状態になっている。
 国民の安全が優先されるべきであるとの見識に立たず、
 深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しで対応が成り立っている。

7 本件原発の現在の安全性
 人格権を放射性物質の危険から守るとの観点からみると、
 安全技術と設備は、確たる根拠のない楽観的な見通しの下に初めて成り立つ
 脆弱(ぜいじゃく)なものと認めざるを得ない。

8 原告らのその余の主張
 さまざまな違法理由や環境権に基づく主張、
 高レベル放射性廃棄物の問題などについては、判断の必要がない。
幾世代にもわたる後の人々に対する我々世代の責任という、道義的にはこれ以上ない重い問題について、
 裁判所に判断する資格が与えられているか、疑問である。

9 被告のその余の主張について
 被告は原発稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、
 多数の人の生存そのものに関わる権利と、
 電気代の高い低いという問題を、並べて論じるような議論に加わり、
 議論の当否を判断すること自体、法的には許されない。

 原発停止で多額の貿易赤字が出るとしても、
 豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富であり、
 これを取り戻すことができなくなることが、国富の損失だ。
 被告は、原発稼働がCO2(二酸化炭素)排出削減に資すると主張するが、
 福島原発事故はわが国始まって以来最大の環境汚染であり、
 原発の運転継続の根拠とすることは甚だしく筋違いだ。

第3 判示の波及効果
1 これらの理由のうち、主給水の遮断が基準地震動以下の地震動によって生じ得ることについては、
 加圧水型の原発すべてにあてはまるものである。
 それ以外の判示は、大飯原発3、4号機のみならず、
 全国の原発すべてにあてはまるものである。
 したがって、この判決は、大飯原発3、4号機に限らず、
 原発が抱える本質的な危険性を認めた判決であると評価できる。

2 原子力規制委員会の適合性審査の下、
 川内原発や高浜原発の再稼働が強行されようとしているが、
 川内原発や高浜原発を含むすべての原発は、
 本判決が指摘する危険性を有しているため、再稼働することは認められない。
 また、関西電力は、
 大飯原発や高浜原発の基準地震動を2割から3割程度引き上げて耐震工事を行うことを明らかにしているが、
 本判決は、現在行われている基準地震動の策定手法自体に、
 根本的な疑問を提起しているのであり、
 このような場当たり的な対応によって、本判決が指摘する原発の危険性を否定することはできない。


第4 弁護団連絡会としての本判決の評価

 本判決は、福島原発事故という深刻な事故を真正面から見据えた司法判断である。 
 福島原発事故のような深刻な事故を、
 二度と繰り返してはならないという原告、弁護団の一致した声が司法の場にも届いた。

 我々は「司法は生きていた」と胸を張って言える。
 勇気と確信をもってこの判決を言い渡した、
 福井地裁民事部の樋口英明裁判長以下の合議体に、心から敬意を表したい

 しかしながら、この判決を特殊な判決であると考えることは誤りである。
 むしろ、深刻な事故を二度と繰り返してはならないという原点から出発し、
 深刻な事故を引きおこす具体的な危険性が万が一でもあるのかについて、
 骨太の事実認識にもとづいて手堅い判断を示したものだと言える。
 これまで原発を容認してきたも同然であった司法は、
 市民感覚に沿って、福島第一原発事故とその被害の深刻な現実を目の当たりにして、
 「地震という自然の前における人間の能力の限界」を
 率直に認める画期的な判断を下したものということができるだろう。

第5 脱原発弁護団全国連絡会からのアピール
1 脱原発弁護団全国連絡会は、この判決を支持し、関西電力に判決に従うことを求め、
 もし関西電力が控訴するならば、全力で控訴審を当該弁護団と共に闘い、
 この判決を守り抜くことを宣言する。

2 脱原発弁護団全国連絡会は、規制委員会に対して、
 福島第一原発事故という現実を見つめ直し、判決の具体的な指摘を正面から受け止め、
 再稼働のための基準適合性審査を中止し、耐震設計、基準地震動、耐震重要度分類、
 共通原因故障などの諸点について、根本的な再検討を行うよう求める。

2 脱原発弁護団全国連絡会は、政府・国に対して、
 判決の指摘を受け、地震国日本における事故リスクを避けるため、
 再稼働を断念し、原発政策を根本から見直し、脱原発のための政策に舵を切るように求める。

3 脱原発弁護団全国連絡会は、全国の電力会社、そして原発立地及び周辺の地方自治体に対して、
 この判決を機に原発推進・依存から早期に脱却し、
 再生可能エネルギーを中心とするエネルギー政策への転換と、
 環境重視の地域経済を目指すことを求める。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

かつては、原子力発電所の安全神話に踏み込む司法の判断を見ることはできませんでしたが、
福島原発事故の実態に照らした判決が下りたことは、
重く、厚いと思っていた司法の扉も、
人が幸せに生きる権利を認めた判断を示してくださる裁判官が
実存する事を知る機会となりました。

長く、厳しい脱原発の活動を続けてくださった皆さんへの感謝と共に、
多くの若い人々が、勇気をもって、希望を発信し続けられるよう、
私たちも一緒に歩みたいと思います。

2014年5月22日
馬場利子記

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大飯原発裁判判決を受けて、全国弁護団連絡会からのメッセージ!静岡放射能汚染測定室

松井英介先生からのメッセージ(「美味しんぼ」と「脱ひばく」について)

コミック「美味しんぼ」に掲載された放射線被曝と鼻血に関して、
論議は続いているようですが、
当測定室でも、お世話になっている 岐阜環境医学研究所の松井英介先生が、
この「美味しんぼ」に登場して、お話をして下さっているそうです。

「美味しんぼ」の噂をしていた所に、松井和子さん(英介先生のお連れ合い)より、
この件に関して、適切で、医学的な見地で書かれた論説文をお送りいただきました。

少し長い文章ですが、掲載と、公開のご了解を得ましたので、
以下に原文のまま、お伝えいたします。

文章の中には、大阪府で震災瓦礫の焼却処理に関して、
健康影響調査をしている『大阪おかんの会』の報告
も引用されています。

ぜひ、お読みください。

★全文PDFは次の通りです。
2014-05-18「美味しんぼ」と「脱ひばく」完成版(松井英介)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原文のまま・・・・太字は当方加筆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「美味しんぼ」と「脱ひばく」を合言葉に
                               2014年5月18日
                岐阜環境医学研究所 所長 松井英介
 はじめに
被災者の訴え=自覚症状を無視してはいけません

「美味しんぼ」が、新しい話し合いの渦を産みだしています。
多くの人びとの関心が、双葉町をはじめとする被災現地の人びとの苦難に寄せられています。
この機会に、あらためて3.11事故がもたらした、健康といのちの危機について、
話し合い考え行動することができれば良いと思います。

私は一臨床医ですから、私の日常は、患者さんの訴えを訊くことから始まります。
訴えの多くは、ノドが痛い、目がかゆい、息が苦しい、むねやけがする、脈がとぶなど、
何らかの自覚症状に関することです。
その意味で、自覚症状は、患者さんが苦しめられている実態を示す、とても大切なものです。

今回「美味しんぼ」に登場し、話題になっている鼻血やひどい疲労感も、
これら自覚症状のひとつです。
テレビや新聞に登場する人の中には、そんなものはなかったとか、
“風評被害”を煽るものだとかいう人もいるようですが、
それらの人々は苦しんでいる被災現地の人びとを思いやる心がないのかと疑ってしまいます。
現に苦しんでいる人がいるのに、それらの訴えは仮病だとでもいうのでしょうか。

3.11事故によってふるさとを奪われ、不自由な仮設住宅や借り上げ住宅暮しをしなければならなくなって、
また、見知らぬ地に移り住まざるをえなくなって、すでに3年以上。
全国各地に数万人、岐阜にも300人ほどの方が移り住んでいらっしゃいますが、
多くの場合、家族ばらばらの不自由な暮らしを強いられています。
これら、今まで経験したことがない状況の下で苦しんでいる人びと、
とくに子どもたちに想いを馳せることが、いま最も求められていることではないのか、私は思います。
  
異様な「美味しんぼ」攻撃
今回私は全く偶然に「美味しんぼ」の作者たちと出会ったのですが、
それから1年以上おつきあいしてみて、ある感銘を覚えています。
それは、雁屋哲さんと編集部の方たちが、じつに丹念な取材を重ね作品を仕上げられる、
その姿勢に対してです。
私への取材も、昨年の秋から今年にかけて、随分長い時間がかかりました。
私も忙しい毎日でしたが、私を惹きつけて離さない力が彼らにはありました。
それが、30年もつづいてきた「美味しんぼ」人気の秘密かもしれません。

今回の「美味しんぼ」攻撃の特徴は、東電原発事故の原因をつくった日本政府が乗り出していることです。
菅義偉官房長官、石原伸晃環境大臣、環境省、石破茂自民党幹事長らが舞台に上がり、
テレビメディアにも登場しています。橋下徹大阪市長や佐藤福島県知事らは
“風評被害”などというわけのわからない言葉を使って、
「美味しんぼ」の内容があたかもウソであるかのように印象づける発言をしています。
「美味しんぼ」に描かれていることは事実です。
被災者が実際に経験した自覚症状など具体的事実を元に表現された作品に対する、
権力者のこのような対応は、国家権力主導の異様なメディアコントロールだと言えるのではないでしょうか。

東電と国による言論・表現の自由の圧殺

3.11事故は、多額の税金を使いながら巨利を貪ってきた東電関連原子力産業と
国策として原発を推進してきた日本政府におもな責任があるので、
彼らがまず被害を受けた福島県をはじめとする汚染地域の住民に謝罪し、賠償すべき事柄です。
それが、あろうことか、あたかも住民の健康被害はなかったがごとく言い募り、
住民の立場から福島の過酷な現実を活写した「美味しんぼ」を攻撃するという挙に出ているのです。
彼らの行いは「美味しんぼ」の抹殺と作者の口封じであり、言論と表現の自由の圧殺に道を開くことものだと言えましょう。

3.11事故によって最も甚大な被害をうけ、全町民と役場が避難を余儀なくされた双葉町は、
「差別助長」「風評被害」を謳い文句にした抗議文を「美味しんぼ」の出版社小学館に出しました。
住民のいのちと生活を守るために活動すべき第一線の自治体として、
同町と町民の苦難の現実を、また井戸川克隆前町長と伊澤史朗現町長の今までの努力と実績を、
全国民に知らせる良い機会にすることもできたであろうに、まことに残念の極みです。

双葉町は井戸川克隆前町長の時に、疫学調査を行っており、
町民が訴えた症状は鼻血のみに留まらず、様々な自覚症状が記録されています。

この問題に関して放射線防護の研究者、野口邦和・安斎育郎両氏は、
2014年4月29日付毎日新聞紙上で、「被ばくと関連ない」「心理的ストレスが影響したのでは」と述べています。
お二人は、血小板が減少し、全身の毛細血管から出血するような、
1シーベルト以上の大量急性被曝を、鼻血や全身倦怠感など自覚症状発症の条件だとしています。
 このような考え方は、残念ながら彼らに特異的な事柄ではなく、
広く一般の臨床現場の医師にもある誤った認識です。
その論拠は、後述する「被曝の健康リスクを知り知らせる」の項をご参照ください。

「低線量」放射線内部被曝を理解して患者さんの自覚症状に耳を傾ける

「美味しんぼ」でもご紹介しましたが、私たちの身体の70%以上は水です。
その水の分子をイオン化放射線は切断して、
細胞の中に、水酸基や過酸化水素など毒性の強い物質を生成します。
これらの毒が粘膜や毛細血管の細胞、さらに遺伝子やDNAを傷つけるのです。
この現象をバイスタンダー効果といいますが、
このような放射線がもたらした間接効果の方が、
放射線そのものによる直接効果より、健康影響は大きいことがわかってきています。

遺伝子不安定性の誘導だとかエピ・ジェネティックスといわれる現象も、最近の分子生物学の成果です。
「低線量」放射線内部被曝の健康影響を、私たちは十分理解した上で、
住民の方々の訴えについて考える必要があるのではないでしょうか。
 後で述べるように、アスベストとか有害な化学物質との複合作用も重要です。

様々な自覚症状を訴える被災者の方々が相談にこられたとき、
このような“専門家”や医師の心ない対応が、新たなストレスになることを、
私たちは肝に命じなければならないと、日々、自分に言い聞かせております。
心理的ストレスといわれるものも、元をたどれば、
その原因は3.11東電原発大惨事にあるのですから、
患者さんの自覚症状や訴えを頭ごなしに否定するのではなく、
まず虚心に耳を傾けることから始めるべきではないでしょうか。

3.11事故によって生活環境に放出された放射性物質の処理

 3.11事故によって自然生活環境に放出された放射性物質は、
東電が自らの産業活動の過程で排出したいわば産業廃棄物だと私は考えます。
ですから東電が自らの責任において、処理するのが原則です。
放射性物質はできるだけ拡散させず、1ヶ所に集めて、
言うならば事故を起こした原発の敷地内に集めて管理・処理するべきです。

大量の人工放射線微粒子とガスは、今も出つづけていますが、
これら様々な核種は県境を超えて拡がり、
地形や気象状況によって、福島県だけでなく東北・関東地方などにもホット・スポットを形成しました。
日本政府は、これら人工核種によって汚染された岩手県と宮城県のガレキと呼称される汚染物を、
汚染が少ないからよいとして日本各地の自治体に受け入れさせて、処理してきました。
大阪府もそれら自治体のひとつでした。
前述したように、放射性物質を広く拡散させることは厳に慎むべきことで、
一点に集中して管理・処理するのが原則です。
このような日本政府の放射性核種拡散政策は根本的な誤っています。
しかし政府はそれを強行し、大阪府はその処理を受け入れてしまいました。
このことによって、福島県など高度汚染地域から避難してきた母と子が、
二度目、三度目の避難・移住を強いられる事例がでてきているのです。

「大阪おかんの会」の健康調査と大阪府放射性物質濃度調査の問題点

大阪府のガレキ処理による健康影響について、
熱心に調査を続けてきたお母さんたちがいます(「大阪市ガレキ本焼却における健康異変報告(Vol.5)大阪おかんの会」http://ameblo.jp/osakaokan2012/)。

大阪府が本格焼却を始めた2013年2月以降4月19日までの集計結果は次のようです。
報告人数797名/自覚症状総数1826=2.29(一人あたりの平均発症数)
① 喉の異常・咳・痰…585
② 鼻の異常…鼻水・痛み188+鼻血97=285
③ 眼の痛み・かゆみ…272
④ 頭痛…135
⑤ 皮膚の異常…80 [皮膚の症状:痒み、ピリピリする、発疹、吹き出物(全身)]
⑥ 肺、気管支の異常・息苦しい…86
⑦心臓・動悸・胸痛…71
⑧ 倦怠感…55
⑨ 発熱…53
⑩腹痛・下痢…38
⑪吐き気…31
⑫骨・筋肉、関節…23
⑬耳、めまい、ふらつき…36 [耳の症状:痛み、耳鳴り、聞こえが悪い(喉、鼻にも異常有り)等]
⑭口内炎…15
⑮眠気、ヘルペス、痙攣、その他…61

その他、注目すべきこととして、つぎのようなことが挙げられます。
1.避難してきていた人たちが、避難する前に感じたことや症状が同じと感じた。
2.臭いがひどい、喉が痛くなるなどでしていたマスクに赤い色が付いた。
3.最初は中国からのPM2.5かと思った。
  しかし強い臭いがしたり黄色いような色が着いたものが流れてきて中国からのものでないと思った。

橋下徹大阪市長は、これら「大阪おかんの会」の調査結果を無視し、
大阪府市の住民の健康といのちを軽視した妄言を繰り返しています。
住民のいのちを守る市長としては、失格だと言わざるを得ません。

大阪府は、ガレキ処理に際して調査した放射性物質濃度の測定結果を発表しています。
それによれば2012年10月31日に採取された災害廃棄物の放射性セシウムの濃度がキログラムあたり8ベクレル
また、2012年11月30日に採取された飛灰の放射性セシウムの濃度は、それぞれキログラムあたり37~38ベクレル。

飛灰の基準値は大阪ではキログラムあたり2000ベクレル
(日本国の基準値は3.11事故後2011年6月3日8000ベクレルとした)ですが、
基準値そのものに、胎児や子どもの基準値を示さないなど重大な問題点があります。

ドイツ放射線防護協会は、
乳児、子ども、青少年に対する1キログラムあたり4ベクレル以上の基準核種セシウム137を含む飲食物を与えないよう推奨」しており、
それに比べると、38ベクレルは10倍近い値。
身体に影響がないとは、断定できません(松井英介著「見えない恐怖―放射線内部被曝―」(2011年)旬報社刊)。

ガレキを汚染した人工放射性核種に関しては、放射性セシウムが測定されているだけです。
後述するように、ストロンチウム90など、全ての人工核種の検査が、放射線による健康影響調査には不可欠です。
加えて私たちが見落としてはならない大切なことは、
それら人工放射性核種とアスベストや有害な化学物質との複合汚染による健康影響があるということです。

「低線量」内部被曝の健康リスクを知り知らせる

3.11事故現場から生活環境に放出された人工放射核種について、
日本政府が発表したデータで、
宮城県南隣、福島県相馬市でセシウム137(137Cs)の1/10のストロンチウム90(90Sr)を検出されています。
 
 しかし、土や食品に含まれる放射性セシウム以外の核種についての検査はほとんどなされておらず、
ストロンチウム90(90Sr)をふくむ全ての人工放射性核種の検査が健康影響評価には不可欠です。
呼吸や飲食で体内に入ったストロンチウム90(90Sr)は、カルシウムとよく似た動きをするため、
骨や歯や骨髄に沈着し、セシウム137(137Cs)の何百倍も長い時間、
すなわち数年~数十年間排出されず、骨髄中の血球幹細胞を障害しつづけます。
その結果胎児の発達が障害され、白血病など血液疾患発症の原因となります。

私たちの細胞60兆個の元はたった一個の細胞=受精卵。
約10ヶ月で脳眼鼻耳手足心肝などの細胞に分化します。
胎児は放射線感受性が高いことを学校で教えるべきです。
人工放射性物質はゼロ!放射性汚染物の処理は東電事故現場一点集中が原則です
私たちは、記録を将来にわたって継続するため、最近「健康ノート」を発刊しました。

低線量放射線被曝の健康影響は、まだ不明な点が多いなどと言う研究者もいますが、
そんなことはありません。
低線量放射線の、とくに内部被曝による健康障害に関する多くの調査研究結果が
すでに集積されています。
低線量被曝による身体への影響は、
2009年に発表されたニューヨーク科学アカデミーの論文集にも、
チェルノブイリ事故後の多くの実例が紹介されています。
また、通常運転中の原発から5km圏内に住む5歳以下の子どもたちに
2倍以上白血病が多発しているという、ドイツで行われた疫学調査結果も重要です。

今後日本で放射線による健康影響を調査して記録していく上で不可欠の条件は、
まず、生活環境に出た全ての人工放射性核種を調べ、
それら核種の放射線量をベクレルで表示することです。
そして、それらデータと自覚症状を含む病状、
そしてさまざまな検査結果との関係を記録し解析することが必要です。
また、年間100ミリシーベルト閾値に関しては、
「全固形がんについて閾値は認められない」とした放射線影響研究所の
2012年疫学調査結果報告「原爆被爆者の死亡率に関する研究第14報 1950-2003年:がんおよびがん以外の疾患の概要」に注目すべきです。

おわりに
「脱ひばく」を合言葉に、チェルノブイリ法、国連人権理事会特別報告者報告と勧告、IPPNW声明を、子どもたち=次世代に伝えましょう

1991年成立したチェルノブイリ法の基本目標はつぎのようなものです。
すなわち,最も影響をうけやすい人びと、
つまり1986年に生まれた子どもたちに対するチェルノブイリ事故による被曝量を、
どのような環境のもとでも年間1ミリシーベルト以下に、
言い換えれば一生の被曝量を70ミリシーベルト以下に抑える、というものです。

 2013年5月に公表された国連人権理事会特別報告者報告と勧告、
そしてそのすぐ後に出された核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の声明は、
日本政府の提唱する年間20ミリシーベルトは容認できないとし、
被曝線量を最小化するためには、年間1ミリシーベルト以上の地域からの移住以外に代替案はないとしました。

3.11以降想像を絶する苦難を押し付けられた双葉町をはじめとする被災現地の人びとの現状を知り、
人びとが家族や地域の人間関係をこわすことなく、
汚染の少ない地域にまとまって移り住み、働き、学ぶ条件を整えることが、求められています。

「脱ひばく」すなわち「子どもたち=次世代にこれ以上の被曝をさせない!」
を合言葉に、「美味しんぼ」に関心を寄せる良心の若者を総結集し、活動の輪を大きく拡げましょう。

             補足:著者に原文のままの公開を了承いただき、お伝えしています。
             「静岡放射能汚染測定室」mail: ssokuteisitu @yahoo.co.jp

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

読んで下さり、ありがとうございました。

私たちも、内部被曝を減らすために、
今後も、被災者支援法の見直しを求めていく事も含めて、
歩みたいと思っています。

2014年5月20日
馬場利子記

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松井英介先生からのメッセージ(「美味しんぼ」と「脱ひばく」について)静岡放射能汚染測定室

放射能による健康への影響・鼻血論争について

コミックに掲載された福島を訪れた人が、鼻血を出した描写について、
各方面から【事実誤認】という批判の論調が出ているようですが、
東京から静岡に避難してきた方のお話でも、
「避難を決心したきっかけは、事故後、子どもの鼻血が続いたこと」
と言われていて、私たちの見聞きした事だけでも、
放射能被曝と鼻血は、無縁ではないと認識していましたので、
騒動が不思議な気もします。

とはいえ、放射能の影響と鼻血に関して
当測定室でも、ご紹介してきた
 北海道がんセンター 名誉院長  西尾正道さんの見解が、
飯田哲也さんのメール文章に紹介されていますので、
全文引用で、ご紹介したいと思います。

真に科学的に考察された意見は、
専門的な知識を持たない私たちであっても、
胸にストンと腑に落ち、冷静に考える勇気を持ち続ける事が出来ます。

・・・・・・・・・・以下引用文転記です・・・・・・・・・・・・・・・・・・

飯田 哲也
【鼻血問題に関する西尾正道北海道がんセンター名誉院長の見解】
西尾先生ご本人の了解を得て、西尾先生の見解を全文を掲載いたします。
飯田も原子力を学んだ大学で「ICRP洗脳」されていましたが、ICRP洗脳が
抜けた今は、西尾先生の見解に納得できます。
要旨は、以下のとおりです(括弧内は飯田の補足)。
・事故後は鼻血を出す子どもが多かったことは事実
 (だから、御用学者はその時は沈黙を守っていた)
・ICRP(の急性被ばく)の論理では説明できない
 (だから、ヒステリックに否定する御用学者、守旧メディアが多い)
・放射性のチリによる準内部被ばくで鼻血などの影響は十分にあり得る
 (報道ステーションや朝日社説は「内部被ばく」と「低線量被ばく」を取り違えている)
・非科学的なICRP信奉者は、自分たちの都合のよい内容だけを科学的と称する発言

_______________________________________________________
鼻血論争について     2014年5月14日
         北海道がんセンター 名誉院長  西尾正道

巷では、今更になって鼻血論争が始まっている。
事故後は鼻血を出す子どもが多かったので、現実には勝てないので
御用学者は沈黙していたが、急性期の影響がおさまって,
鼻血を出す人が少なくなったことから、
鼻腔を診察したこともない放射線の専門家と称する御用学者達は
政府や行政も巻き込んで、放射線の影響を全否定する発言をしている。

しかし、こうしたまだ解明されていない症状については、
根源的に物事を考えられない頭脳の持ち主達には、ICRPの基準では理解できないのです。
ICRPの論理からいえば、シーベルト単位の被ばくでなければ血液毒性としての血小板
減少が生じないので鼻血は出ないという訳です。

しかしこの場合は、鼻血どころではなく、紫斑も出るし、
消化管出血も脳出血なども起こります。
しかし現実に血小板減少が無くても、事故直後は,
鼻血を出したことがない,多くの子どもが鼻血を経験しました。

伊達市の保原小学校の『保健だより』には、
『1学期間に保健室で気になったことが2つあります。 1つ目は鼻血を出す子が多かったこと。・・・』
と通知されています。
またDAYS JAPANの広河隆一氏は、チェルノブイリでの2万5千人以上のアンケート調査で、
避難民の5人に1人が鼻血を訴えたと報告しています。
こうした厳然たる事実があるのです。

この鼻血については、次のように考えられます。
通常は原子や分子は何らかの物質と電子対として結合し存在しています。
セシウムやヨウ素も例外ではなく、呼吸で吸い込む場合は、塵などと付着して吸い込まれます。
このような状態となれば放射化した微粒子のような状態となり、
湿潤している粘膜に付着して放射線を出すことになります。
そのため一瞬突き抜けるだけの外部被ばくとは異なり、準内部被ばく的な被ばくとなるのです。

微量な放射線量でも極限で考えると、原子の周りの軌道電子を叩きだし,
電離を起こします。
この範囲が広範であれば、より影響は強く出ます。
被ばく線量もさることながら、被ばくした面積や体積がもろに人体影響に関与します。

事故後の状態では、放射性浮遊塵による急性影響が真っ先に出ます。
放射性浮遊塵を呼吸で取り込み、鼻腔、咽頭、気管、そして口腔粘膜も含めて
広範囲に被ばくすることになりますから、最も静脈が集まっている脆弱な鼻中隔の前下
端部のキーゼルバッハという部位から、影響を受けやすい子どもが出血することがあっても不思議ではありません。
また咽が痛いという症状もこうした機序によるものです。
この程度の刺激の場合は,粘膜が発赤したりする状態にはならず、
診察しても粘膜の色調変化は認められないが、
粘膜の易刺激性が高まるため、広範な口腔・咽頭粘膜が被ばくした場合は,
軽度の痛みやしみる感じを自覚する訳です。

受けた刺激を無視し、採血や肉眼的な粘膜炎所見などの明らかな異常がなければ、
放射線が原因ではないとして刺激の実態をブラックボックス化するICRPの盲信者は科学者としては失格です。
ICRPの健康被害物語では,現実に起こっている被ばくによる全身倦怠感や体調不良などの
いわゆる「ぶらぶら病」も説明できません。
そのため何の研究や調査もせずに、精神的・心理的な問題として片付けようとする訳です。
今後、生じると思われる多くの非がん性疾患についても否定することでしょう。

鼻血論争は、未解明なものは全て非科学的として退け、
自分たちの都合のよい内容だけを科学的と称する非科学的なICRP信奉者の
発言の始まりでしかないと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2014年5月17日
馬場利子記

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放射能による健康への影響・鼻血論争について静岡放射能汚染測定室